放射状に伸びたコンベアを、上から見るとこんな感じ。
総数として、計7〜8本は有ったと記憶しています。
動く事の無いコンベアの上には、枯れ葉が降り積もるばかり。
人工物と自然の共存が、当物件のメインテーマです。
劣悪な環境においても、テンションを保ち続けているベルト。
たとえ苔に覆われようが、彼はその使命を放棄しない。
アクセスが厳しいぶん、撮影には集中できる環境とも言えます。
聴こえてくるのは、自分の足音と小鳥のさえずりぐらい。
こちらには、既に力尽きて項垂れたベルトの姿が。
彼も十分に頑張ったはず、責める事など出来ない。
青空の清々しさに真っ向から対立する、錆色の施設たち。
極端に違うものが共存するのは、廃墟では良くあること。
建物の中には、用途の良く分からない一対の設備が…。
鉱石の選別もしくは洗浄を行う機械と思われますが、果たして。
こちら側から見て、左側の機械に「右」と書いてある不思議。
1と2や、AとBみたいに書いてくれれば、混乱しないのに…。
コンベアやトロンメル他、多数の設備を抱えるだけに
電力の消費も相当で、経営を圧迫していたものと推測します。
置き去りにされた設備たちは、年月を経て
錆色をより深め、草木や苔の侵食も留まる所を知らず。
更に年月を重ねるであろう、設備たちの行く末や如何に…。
神奈川県のとある山中、川沿いに垣間見えた錆色のプラント設備。
緑の生い茂る季節になると、その姿は殆ど目視出来ません。
発見に苦労するだけでなく、アプローチもかなり厳しくて
正規の道から進むと、泥や茨に悩まされること請け合い無し。
川を渡渉する手もありますが、膝辺りまで水に浸かります。
物件自体は、砂利の採取場または砕石場と思われ、
川から背後の山にかけて、多数のコンベアやプラント設備
また小規模の建屋や貯水池などが点在しています。
2017年現在から10年以上前の、初訪問の時点で
既に錆色や草木の繁茂など、現状とほぼ変わらない状態でした。
おそらく閉鎖から、30年近くは経過しているのでは…。
アプローチが悪い上に利用価値も薄い土地の為、
今後もしばらく、放置状態が続くのではないかと思います。
ひとくくりに「鉱業」といっても、金の採掘のような
精錬を伴う鉱山業は、現代の日本において殆ど見掛ける事がなく、
採石業や砂利採取業の方が、業種としては馴染みが深いものです。
そのせいか、廃墟としては、廃鉱山と比較すると
砕石場や砂利採取場の廃墟は、日常風景との違いが薄く、
またノスタルジックさにも欠け、取り上げられる事は殆ど有りません。
ですが、屋外放置された設備は廃鉱山と同様に風化し、
植物との絡みも往々にして見受けられるもので、
年月が経過した物件については、充分な魅力を持っています。
今後も放置が続きそうな当物件…、静かに見守っていくつもりです。