2011/春 訪問
鱒○亭

三重県の某山中に在る一軒の廃旅館、その名は鱒○亭。
廃墟というより心霊の方面で名の知れている物件であり、
其の雰囲気には確かに陰湿なものを感じます。

何も無い山中という立地ゆえ、通りすがりの客は期待できず
予約客を送迎するのは常だったものと思われます。

今も昔も、この橋が物件への唯一の連絡手段。
床板は無く、足元に川のせせらぎを眺めつつ慎重に橋を渡る…。

渓流というには微妙な川だし、周囲の林も美林とは言えず。
どうせ山奥なら、もう少し良いロケーションを選んだ方が…。

正面入口に進むと、漆黒の闇が口を開けていた。
廃墟に慣れた自分でも躊躇せざるを得ません。

玄関から見渡す限り、残留物は見当たりませんが
構造はしっかりしており、何処となく和風の面影。

物件規模に比べると広めに思える厨房。
料理メインの、割烹旅館的な業務形態だったのか。

電気・ガス・水道のライフラインは既に無く。
一般社会から切り離されてしまった建物は、
結果的に廃墟という末路を迎える事となった…。