コンクリート+階段+光は、
大抵が良い画になるという公式です。
未成物件には付き物の落とし穴。
深い上に水も張られているという恐ろしさ。
窓の向こうをJR東海道線が疾走します。
多少の騒音はあれど、駅に近い立地は魅力なのですが…。
1Fの広いスペースは、駐車場といったところ。
建築時の現場写真と思われますが、
雨水等による劣化が著しくて判別できず。
今から10年以上も前の、或る夏の日。
作業員は忽然と姿を消し、蝉の鳴き声だけが木霊していた。
一体あれから幾つの季節が流れただろうか…。
入口エントランス付近はデザインの見せ所。
そのデザインも完成しなければ披露できず、
苦労が徒労に終わる虚しさだけが残された。
入口に居座る植物達は、マンションの住人気取り。
家賃の代わりに枯れ葉を落としていく…。
某駅前に在り、電車の車内からも眺められた物件です。
放置期間は10年以上といったところですが、
外観はまだ綺麗で再利用も可能に思われます。
ただし中は雨漏りによる湿気が多く、劣化が心配な為
復活は一筋縄ではいかないでしょう。
ある日、東海道線に揺られつつ景色を眺めていると
某駅前で何やら違和感を感じました。
いつもなら見える筈の、あの建物が無い…。
見間違いかと思いましたが、その後何度通っても
建物の無い景色が変わる事は有りませんでした。