2006/春etc 訪問
割烹旅館T
街中を走る一般道の脇に、沈黙を続ける建物が在る。
最初は一般民家かと思いましたが、かなり奥に長く
無理やり増設したかのような雰囲気も匂わせています。
表示によると、この建物は割烹旅館とのこと。
立派な岩や玄関へのアプローチが確かに其れっぽい。
この割烹旅館を利用する客層がイマイチ想像できず。
著名な観光地でもないし、商業地域でもないし…。
ふすまが取り払われた空間は其れなりの広さです。
埃は積もっていますが、構造自体はしっかり。
割烹を謳うからには、料理の味に妥協は出来ません。
日々精進する板前さん達の熱きドラマは、もう見られない…。
昔の家は、狭くて急な階段も当たり前でした。
今の時代はバリアフリーが求められていますが、
それによって歴史が消えるのも悲しい話です。
1階にも2階にも、お座敷空間が至る所に。
晩年の稼働率は果たして如何ほどのものだったのか。
古き良き意匠が随所に取り入れられている内部。
建築年次は相当のものだと思われます。
別棟と繋がった建物は「コ」の字になっており、
中庭を眺めて食事をする事が出来ました。