2007/夏 訪問



地○発電所


静岡県内には、幾つもの大きな河川が流れています。

大井川、安倍川、富士川、狩野川、天竜川…。

どの流域においても、古くから水力発電が行われてきました。


今回訪れたのは、大井川上流でかつて稼働していた発電所。

周囲の長閑な風景の中で、異彩を放っています。



内部はがらんどうに近い状態ですが、

高い天井や大きな門扉には発電所の面影が。



レンガ造りの外壁に対し、天井は木造という二重構造。

年月を経ている割に劣化が見られません。



何故か、どの発電所にも見られる電話ボックス。

稼働時の騒音を遮断し、会話をし易くする目的で

設置されているというのは、私の勝手な推測です。


外観・内部とも洋風の意匠が随所に見られるのは、

ドイツ人技師が設計を担当していたから。



現役時代は此処に導水管が通されて、

水の流れ落ちる音が絶え間なく響いていた…。



発電設備のようですが、昔の農機具にも見えて油断できず。




内壁は所々に変色や崩壊が目立ち、老朽化は否めません。




モノが残っていなくとも、何故か絵になる発電所廃墟。

もう少し雰囲気に浸っていたい所でしたが、

予定に急かされ再び現実に帰る私なのでした。




明治43年に建設されたという此の発電所。

その後、休止や復活を経て、昭和36年に役目を終えました。

建築年次は100年、廃墟年齢は50年近くになります。


民間の企業が所有しており、老朽化も進んでいる事から

今後解体されるという話を、近隣の方から聞きました。

近代化遺産として保存したいという話も有りますが、

やはり費用がネックになると…、残念な話です。


貴重な古い建物を保存する動きは全国で見られますが、

実際に保存されるかは、希少価値と資金に左右されます。

今回のように明治末期のドイツ人による設計というだけでは、

希少価値という点でポイント不足な観は否めません。

建物を払い下げするにも資金が必要ですし、

仮に出来たとしても、改修費・維持費が重い負担となるでしょう。

保存が叶わなかった場合の選択肢は二つ。

放置による廃墟化か、それとも解体か…。

私がどちらを望むかは、言うまでもありません。



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