母屋から下側の斜面にコテージが点在している状況。
草木さえ無ければ、展望が抜群に良い立地なのですが…。
コテージの造りは安っぽく、突如前触れも無く倒壊しそう。
旅館なんて無理に格好つけずに、キャンプ場でも良かったのでは。
残念な事に、当地周辺で白樺の木は殆ど見かけません。
内部は相当に朽ちていて、残留物云々なんて言えない状況。
玄関から先に踏み入る事など、到底できない訳で…。
この調味料達は、果たして何年の間に渡って放置されているやら。
今のTVは外枠いっぱいまで画面が拡がっていますが、
昔のTVは箱の大きさに対し、画面が相当に小さいですね。
最近は廃墟でも、此の手のTVを余り見掛けなくなりました。
小鳥のさえずりと木々のざわめき以外は、何も聞こえない空間。
陳腐な設備の旅館ですが、環境は或る意味では贅沢かも知れません。
だって情報や音に溢れた社会から、逃れる事が出来るのだから…。
主要道から見えた怪しい脇道、傍らには古びた行燈が…。
行燈を頼りに進んだ道の行き止まりに、当物件は寂しく佇んでいました。
母屋の看板には旅館と書かれており、また斜面に宿泊棟が
点在している状況から、一応通常の旅館であったと解釈しました。
キャンプ場またはBBQハウス、貸別荘の様にも見えますが…。
内部の劣化が酷く廃墟年齢を知る手掛かりは掴めませんでした。
状況から推定するに、およそ30年近く放置されているものと思われます。
建物の価値は無いに等しく、また国立公園内であるため
新築基準も厳しい事から、放置はまだ暫く続くのではないでしょうか。
現在では、航空写真やストリートビュー等により、
机上においても容易に廃墟を発見する事が出来ます。
以前はとにかく色々な道を走って、俗に言う廃墟センサーによる
現場での廃墟発見、という流れが主となっていましたが、
現在の手法の方が効率的で、時間も金も節約できるのは確かです。
ただし当物件のように、道の先に何が在るのか分からない状況で
辿りついた結果が廃墟だった、そういった時の臨場感や高揚感は、
答えの分かっている廃墟訪問では、決して味わう事は出来ません。
利便性と引き換えに、失う物も大きいと感じる今日この頃でした。