こちらの部屋は、先程の部屋よりも幾らか広め。
劣化は少ないのですが、微妙な乱雑さに廃墟を感じます。
箱の中には、大量の削り節が其のまま放置の憂き目。
乾燥食品につき、思ったより悲惨な状況ではありません。
金属で鰹節を削る以上、歯零れが製品に混入する危険性も考えられます。
人による発見は難しく、金属探知機は正に最後の砦と言うべきか。
何故か特別扱いの野村さん、一体何者なのか。
ちなみに此の会社は、鰹のほか鯖や鰯などの加工も行っていました。
何やら人の気配を感じた為、一旦外に脱出します。
すると、向こうから声を掛けてきたのは一人の少年。
近くに住んでおり、此の廃墟を遊び場にしているという。
少年に導かれて、再び内部の探索を再開します。
以前から良く当物件を訪問しているという此の少年、
内部構造や管理状況についても詳しいようです。
「こんなのあったよ」と少年が差し出した謎のビン。
よくよく見ると、単なる食品添加物で一安心…。
私の探索は滞りなく進み、一通りの撮影が終了した。
かたや少年は、持ち込んだ玩具で遊んでいる様子。
一期一会、私は少年に別れを告げ、次の目的地へ向かっていった。
一見すると倉庫のようにも見える廃かつお節工場。
意外と奥に広いのですが、訪問できる箇所は一部のみとなっています。
廃墟年齢は、内部カレンダーからの推測で約4年程度。
廃れ具合もまだまだで、若干の物足りなさが残る物件でしたが
所々に見られる独自の残留物には、光るものが有りました。
今回の廃墟では偶然に地元少年と遭遇した訳ですが、
そういえば私も、少年時代に地元の廃墟を
良く遊び場として訪れていた事を思い出しました。
その頃は単純に秘密基地感覚であって、
廃墟の対する思い入れのようなものは全くなく、
いつしか訪れることは無くなって行きました…。
今でも其の廃墟はひっそりと残されていますが、
いつか思い出と共に消えてしまう事でしょう。