二階も一階と同じく、がらんどう状態。
かえって無駄に残留物など無い方が、
写真的にすっきりして良いという意見もあります。
外観からも分かる通りの円形フロアは、
現役当時には風車の力で回転していたという…。
一面の窓にガラスは全く残っていません。
中途半端に割れ残るよりは潔い選択肢ですね。
先細りする風車の上部へ昇る方法は、
この垂直に立った鉄梯子以外に無し。
ここまで来たら全てを確かめるのが人情というもの。
このモーター…。軸が外の風車と繋がっているので、
モーターの動力で風車を回転させていた事が分かります。
風車なのに風で回らないという悲しい真実を知る。
白くて大きい体躯は非常に目立ちます。
其の姿を一目見ようと、廃墟と化してからも
来客がひっきりなしに訪れていたとか…。
「錆びついた 羽根の向こうに 富士の山」
その羽根が再び動き出すとは、誰が予想しただろうか。
別資本が手を入れ、新たに生まれ変わった旧ムー○ン乙女。
面影を色濃く残した其の姿は、廃墟の結末として
理想的なものだと、私は強く感じた次第です。
雑草は伸び放題、ガラスは割られて至る所に落書きが。
順調に廃墟としての年月を刻んでいた当物件。
静岡県だけでなく、他県からも訪問者が訪れる有名物件でした。
私としては近隣の物件として親しみがある一方、
いつでも行けるという頭も有った為か
意外なほどに訪問回数の少ない物件でも有りました。
そんな中、リニューアルの噂を伝え聞いたのは昨年の事。
中国資本の手でドライブイン兼レストランとなったそうな。
早速確かめに訪れると、そこには綺麗に再塗装された
純白の風車が気持ち良さそうに回っているではありませんか。
廃墟時代の状況と比べてギャップは感じつつも、
取り壊されるよりは遥かに嬉しい選択肢でした。
まだ現在の内部を拝見した事は無いのですが、
そこにも面影は残っているそうで…。
廃墟としての物件では無くなった残念感と、
建物が其のままの形で残された安堵感。
そんな複雑な思いを抱きつつ、私はその場を後にしたのでした。