2009/夏 訪問



細○第一発電所


既に日は落ちかけ、本日の旅も終わろうかという頃。

滑り込みで辿り着いたのは、遺跡のような発電所廃墟でした。




洋風の様式と意匠に飾られた、古いレンガ建築。

倒壊防止の金網が趣を削いでしまっていますが、

解体せずに残そうという方針は、称賛したいと思います。



苔の付着や表面の剥がれ等、劣化が目立ちます。

新しい建築には出せない年季の賜物ですね。




半分吹き飛んでしまった屋根が痛々しい…。

模様が描かれた飾り板は、発電所らしからぬ遊び心。




デザインだけでなく、頑丈さも兼ね備えた造りです。





内部に稼働当時の残留物は全く見られません。

外観が素晴らしいだけに、実に惜しいところ。




廃墟というより遺跡という言葉が当てはまる物件。

あと何年この地に建ち続けてくれるだろうか。




古レンガ独特の味わいは、廃墟好きでなくとも

多くの人が理解を示してくれるようです。(当社調べ)




発電所としての役割を伺える部分は、ごく僅か。

明治時代から日本の産業を支えてきた功労者の、寂しき末路。




苔のみならず雑草まで生やす植物の力恐るべし。

まあ、レンガも元を糺せば土くれなので…。




著名な某鉱山への電力供給を目的とした、

企業の自家用発電所という出自を持つ当物件。

明治39年の築であり、現在まで100年以上の年月を刻んでいます。

当然、その体躯には相応の劣化が見られており、

正面側には倒壊防止の金網が全面に取り付けられています。


始めの方でも書きましたが、明らかに使用されていない当物件を

解体せずに、金網を付けてまで残す理由は何なのでしょうか。

解体費用が無いという理由だったら元も子も有りませんが、

歴史的建造物を残したいという理由も有るのでしょうか。

もちろん当物件周辺には案内看板なども無く、

屋根を見たとおり荒れるがままというのが現状です。

静岡中部の地名発電所は、似たような出自でしたが

結局惜しまれながらも解体の道を進みました。

果たして当物件の行方は、其のまま放置か、保存か、解体か、

今後の推移を静かに見守っていきたいと思います。



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