2009/夏 訪問
旅荘 ○坂
全国各地において散見される廃ホテル。
それは日本の中心、東京都にも勿論存在しています。
狭い湖畔道路を進むと、脇に当物件が現れました…。
不法投棄や植物の繁茂など、お約束を外さない外観。
普通に見れば不快な光景と言えますが、
そこには退廃の美も微かに同居している訳で。
物件名称や外観から和のテイストと思われがちですが、
部屋にはベニス、ローマ、モナコの名も…。
外観同様に内部も荒れていて、狭い室内は物だらけ。
フラッシュの光に浮かぶのは定番の大名ベッド。
ひょうたん型の窓は、何だかテキトーな造り。
和の演出をしたい気持ちは分かりますが…。
どうせホテルなら、色気のある外観を要求します。
良くも悪くも、もう少し個性が欲しいところ。
部屋名にあった通り、洋室も幾つか用意されています。
どちらにせよ中が狭いのはマイナスポイント。
ベッドが割とネタ系なのに対し、お風呂は至って普通。
外観同様、もうちょっと突き抜けても良いのでは。
このベッド、長さが少し足りないような…。
背の高い人は足が伸ばせないかも知れません。
似非暖炉や妙な壁紙など、他にも突っ込み所が多い。
今風のホテルに対し、色々と逆行している当物件。
滞在中の赤ランプは点かず、ついには青ランプも消えて、
その姿は夜の闇に飲み込まれてしまいました。
貴重な都内の物件、ただし実際の立地は静かな湖畔の森の陰…。
周囲には他にも数軒のホテルが在り、当物件が一早く
それらとの競争から脱落した事が伺い知れます。
廃墟年齢は推定で8〜12年ぐらいでしょうか。
文中にも有りますが、やはりこういったホテルは
時代の流れを掴んで改装していかないと苦しいですね。
改装費用が無くズルズルと営業を続けた結果、
リピーターを失い客足が離れてしまう訳で…。
廃墟から学ぶ事も有るという、今回のレポートでした。