2009/冬 訪問
S精神科病院
12月の朝の空気は、凛として澄み渡っていた…。
そんな中、白い息を吐きながら小高い丘を上る者が一人。
果たして彼は、何を目指して歩いているのだろう。
視線の先に現れたのは、予想より若干こじんまりとした一棟の建物。
朝日に照らされた此の建物は、打ち棄てられた精神病院だという。
患者の飛び降りを防止する柵が、精神病院としての特徴の一つ。
デザインにより、通常の柵と比べて閉鎖感はやや薄めです。
普通の病院ロビーなのですが、冷えた空気感と共に重苦しさを感じます。
病院廃墟全体に通じる此の雰囲気には、どうしても慣れません…。
メンタルクリニックのような気軽さは全く無し。
実際の患者層は、果たしてどの程度の症状だったのだろう。
無機質で味気ない廊下の風景が、余計に寒々しさを誇張する。
良くよく見たら、窓ガラスも網入りで飛散防止の仕様だったり。
防火の他に、破損防止の目的も少なからず有ったのでは。
一階に存在する数少ない病室は、やっぱり寒々しかった…。
病院という事で、用途の解らない医療器械が所々に残置。
昭和を感じさせるデザインや配色も、今では却ってCoolに見える。