2011/冬 訪問



水産講習所 高○島実験場


とある港の公園内に、朽ちたコンクリートの建築物が二つ。

無機質な其の姿は、廃墟というより遺構という言葉が適当か。




現時点では、建物の使用目的は全くもって分からず。

過去の経験からいくと戦跡の類であるようにも思えますが…。




残留物などの情報源は、此れといって見当たりません。

只々黒ずんだコンクリートに覆われただけの内部。




縦長の建物に隣接して横長の建物がもう一棟。

周囲は至って閑静で、聞こえるのは波の音ばかり。

あと、猫の鳴き声が少々。



劣化したコンクリートと落書きが共演する様は、

神奈川に在る、通称ブロックアートとも似通っています。

二つの不協和音が調和する、不思議な世界。




高い位置にある窓は採光用で、眺望は期待出来ず。

あくまで使用目的を果たす為だけの建物ということ。




陸側にある部屋にも、やはり情報源は見当たらず。

床の溝は排水用で、元はグレーチングが設置されていたのかも。




探索中しきりに猫の鳴き声がすると思っていたら、

遂に、私の眼前に其の正体を現した。

用途不明の建築物は現在、猫たちの棲家となっている…。





房総半島南部の港内に残されたコンクリートの建築物。

元々が戦争遺跡の多い地域という事もあり、

当物件も其の手の関連施設だと思い込んでいましたが…。

調べてみると、どうも違っていたようです。


実際には、農商務省水産局という旧い国家機関が所轄する

水産講習所(水産に対する教育・研究機関)の関連施設であったとか。

建物の歴史は相当に古く、明治時代の築という事で

ざっと100年以上は経過している計算になります。

用途としては、主に養殖の研究が行われていた模様。


海軍飛行場の建設に伴う移転の結果、当物件は放棄され

以後は長い廃墟の道を歩んでいるとの事。

外観は割としっかりしており、周囲に開発の恐れも無いので

恐らく今後も当物件は、当地に在り続けるでしょう。

猫達の安住の地という立場にも、変わりはなさそうで…。




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