2011/春 訪問
焼肉 南○門
とある国道を走行中、山道に差し掛かった辺りで目に付いた看板。
既に何も表示されていない只の看板跡も、
私にとっては廃墟の存在を示してくれるシグナルです。
看板の下に目線を向ければ、やっぱりお出ましの飲食店廃墟。
蔦だらけの当物件は、元焼肉屋の模様です。
肉の焼ける音、立ち込める煙、食欲をそそる匂い。
歓談に溢れていた店内も、今はすっかり荒れ果てて…。
三重は松阪牛というブランドを持っているせいか、
他県よりも焼肉店が多いようなイメージがあります。
価格競争に敗れた事も、閉店の原因の一つなのでしょう。
窓にテーピングと言う安上がりなアピールも実らず。
それにしても、外観以上に内部の傷みが激しい物件です。
この灯りが消えてから、どれだけの時が経過したことか…。
外では時間が忙しなく動いているのに、呑気なものだ。
焼肉は客が自己責任のもとで肉を焼く訳で、
厨房については其れほど忙しくないという、私の勝手な予想。
二階は個室ですが基本がらんどう、ガラスが危ない。
外に広がる風景は緑が多め、至って長閑なもの。
眺め以前に、焼肉屋の立地として不安が残ります。
焼肉をたらふく堪能した後は、エチケットガムで締め。
晩年はガムの減りも悪かった事だろう…。
国道沿いとはいえ交通量は左程多くは無く、
周囲には民家が疎らという立地条件の焼肉屋。
廃墟年齢は明確な証拠が無く分かりませんでしたが、
私の推測では15〜20年程度と予想します。
基本的に焼肉は思いつきで食べるイメージでは無く、
何かのイベントが起きた時に計画して食べに行くイメージです。
そう考えると、国道沿いという立地は決して+ではなく、
街の郊外に位置しているのは、大きな−と言えるでしょう。
街中の住民は街中の焼肉屋に行くでしょうし、
車で行きやすくても、お酒との絡みがありますし…。
この立地なら、ラーメン屋か喫茶店ぐらいの
気軽に立ち寄れる店の方が良かったかも知れません。
勿論それとて、廃墟にならない保障は無いのですが…。