古びた柵に引き込み電線、その先は漆黒の闇。
洞窟には、廃墟とはまた違う独特の威圧感と緊張感を感じます。
果たして此の先、どんな光景が私を待ち受けているのだろうか?
入洞して正面に、いきなり瓦礫の山が立ち塞がりました。
風の流れも無く、どうやら此の先は閉塞している模様…。
写真左手側が通路となっているので、そちらを進みます。
通路の先にはちょっとした空間が有り、別の入り口に繋がっていました。
他に先へ進む通路は無く、これ以上の拡がりは無さそう…。
しかし此の空間、何故かお地蔵様が3体も安置されているという謎。
造形や状態から、このお地蔵様に左程の歴史は無さそうです。
洞窟の観光化と共に置かれたとしたら、一体何の目的か。
お化け屋敷的な恐怖感を煽る為の演出なのか。
置かれた理由が何であれ、お地蔵様には取りあえず賽銭を。
暗がりを良く見ると、何やら鉄柵で仕切られた部屋を発見。
牢獄的な演出で、恐怖感を煽っていたのだろうか。
それとも、何か動物が飼育されていたのだろうか。
柵の向こうは下に落ち込んでおり、広さは相当なもの。
動物の為の檻ならば、一体何が飼われていたのか気になる所。
ここに来てようやく、猪という2つ目のキーワードに対し
鍵と成り得る決定的証拠を発見しました。
洞窟と猪という奇妙なタッグは、間違い無く存在していた…。
暗い洞窟を後にして、舗装路をひたすら上へと辿ります。
上り切った先に待つものは?いよいよクライマックスへ。
そこに有ったのは、サッカー場並みの広さを持つ広大な空き地。
消えたレジャーランドの跡地として、まあ正当な結末と言えるでしょう。
以上、当結果を以って今回の調査を終了致します。
地図にもネット上にも殆ど情報が出てこない、幻のレジャーランド。
解体は知っていたのですが、コンセプトの一つが洞窟ならば
穴の一つぐらいは残っているだろうと、訪問を期していた物件です。
結論としては私の推測通りに洞窟が有り、
物件たる証拠も残っていた為、今回記事とする事が出来ました。
今回の物件、付近には温泉が有り幹線道路も近いので、
山奥に有りがちなレジャーランドとしては、悪くない立地です。
となると、ダメだったのはやはり洞窟&猪という組み合わせか…。
憶測ですが、おそらく設備類も貧弱だったのだと思います。
開設時期や閉鎖時期、解体時期の何れも情報が無く、
廃墟年齢は掴めませんが、少なくとも10年程前に
物件の前を通った時から、施設は既に消えていた気がします。
現在、伊豆半島は世界ジオパークの認定を目指しています。
ジオパークとは大地からなる自然遺産を保有する土地の事で、
また其の自然遺産を保全し、文化として教育に役立てたり
ツーリズムと言う形で地域活性化に繋げる事が、求められています。
伊豆の主なジオサイトとしては、大室山や城ヶ崎海岸、堂ヶ島等ですが
石丁場跡である松崎の室岩洞なども、近年注目を浴びているとか…。
今回の物件も、洞窟を再整備すれば新たなジオサイトとして
観光名所若しくは教育の場に、利用出来るかも知れません。
勿論それは、町の財政に其れだけの余裕が有ればですが…。
ジオサイトに成り切れない、廃墟と絡んだ裏ジオサイト。
せめて当HPの中でも取り上げられれば…、そう思った次第です。