上階のトイレが崩壊したのか、通路に落ちた便器。
こんなものが直撃したら洒落になりません。
離れに造られていたのは囲炉裏だらけの部屋、通称「狩人亭」。
小宴会場として、イノシシ鍋を提供していたという。
囲炉裏の上に、ほぼ必ず魚が付いているのは何故だろう。
どうやら鍋を上下させて火力を調整する役目だとか。
あえて苦難に身を投じ、精一杯生きる植物に、拍手喝さい雨あられ。
部屋は和風なのにバルコニーは洋風。一粒で二度おいしい。
屋根を見ると、明らかに増築系の物件である事が分かります。
斜面と言う立地上ある程度は仕方ありませんが、
もう少し綺麗にまとめて欲しかったと思う、今日この頃…。
大広間は、また別の通路を通っていかなくては行けません。
複雑な通路と階段の多さから、迷宮と呼ぶに値します。
隕石でも落下したかのような一部崩壊っぷり。
ちょっとした雨漏りから、此処まで発展するのには
一体どれだけの年月が経過したことか。
物言わぬ空間で静かに重力と闘っている瓦礫たち。
いつかは力尽き、其の身を奈落に落とす事だろう。
経営者にとって醒めない夢であってほしい惨状。
悲しいかな、これは紛れもない現実です…。
温泉地のメインから少し離れた所に建てられた中規模旅館。
斜面という立地条件のほか、内部は相当に入り組んでおり
増築された事も相まって、全網羅するのは難しい物件です。
初回探索の頃と比べて内部の崩壊は進んでおり、
何れは完全倒壊または解体の道を歩むでしょう。
廃墟年齢は、残されたカレンダーより約19年程と推測。
例えどんなに営業努力をして集客を果たしても、
施設の老朽化はいかんともし難い部分です。
貯えを放出して全面リニューアル出来れば良いのですが、
そこまでの貯えが無い場合はどうなるか…。
傷んだ箇所を部分的に補修するも追いつかず、
施設の古さが評判を下げて集客に影響し、
資金の不足から補修が出来ないという、正に負のスパイラル。
当物件も、苦しい状況で営業を続けるより
廃業を選択したか、若しくは資金ショートで強制終了か…、
観光業の難しさを改めて考えてしまう今回のレポートでした。