2004/冬etc 訪問
渡○荘 ○龍
とある温泉街に、何だか妙な殺風景が…。
火災に遭い、其の後解体された旅館の跡地です。
日本庭園のなれの果てが広がる敷地内。
建物は早々に解体されたようで、殆ど見当たりません。
川沿いに残された基礎へ目を向けると、地下の入り口が。
どこぞのRPGのような、ぽっかりと空いた其の穴に
吸い込まれていく私が居る訳で…。
入って直ぐの通路には、営業当時の面影が残っています。
老舗で評判も良い旅館だという専らの噂でした。
位置的に浴場だろうと予想はしていましたが…、
何やら大量の土砂と流木で埋め尽くされている光景。
焼け爛れた天井は火災の痕跡でしょうか。
明日は我が身、気を付けたいものです。
浴場を残して再利用する予定かも知れませんが、
土砂の流入は流石に想定外では…。
大雨による河川氾濫が、土砂・流木の原因だそうです。
営業当時だったら修繕費が洒落になりません。
上の階にある浴場は、すっかり露天風呂状態に。
もはや温泉ではなく、雨水を湛える池となる。
一体誰がこんな未来を予測できただろうか…。
文豪にゆかりのある、老舗の木造旅館。
伊豆・箱根には、こういった成り立ちの旅館が数多く
この物件も其の一つと言えるものでした。
その後、この旅館は場所を替えて立派に営業しています。
火を操る事が出来るのは、人類だけの特権です。
それにより様々な恩恵を受けてきた代わりに、
使い方を誤って被害を受けた歴史も数多い…。
火災との戦いは、火を操る人類の宿命なのかも知れません。