2015/夏 訪問
棺桶工場
或る夏の日、ようやく此の地へ着いた頃には
既に陽射しは傾き、建物は逆光の陰に埋もれていました。
外観的には、ごく普通の廃工場って感じで規模も小さめ。
時間に余裕が無ければ、スルーも十分有り得るレベルですが…。
軽く覗いた所、多くの材木が闇の中で静かに眠っている様子。
木工所の廃墟という事で、まず間違いないでしょう。
製作物として、このような長方形の木箱を第一に発見。
随分とシンプルな箱ですが、果たして何に使うのでしょうか。
装飾が彫られた此の板は、一見すると欄間にも見えますが…。
全自動で彫るような機械も見当たらない事から、
職人による手作業で製作されている模様です。
こういった下絵が、立体的な彫刻へと変換される訳で。
相当な手間暇が掛かる分、完成品は値が張りそうです。
パーツ単体だけでは、イマイチ用途が分かりません。
お葬式で見掛ける小道具が、何故こんなところに。
確かに葬儀関係では、色々な木製の品が必要となりますが…。
するともしや、最初に見掛けた長方形の木箱って…。
まさかの棺桶という事で、間違いない様です。
これまで多種多様な工場廃墟を訪問してきましたが、
流石に、棺桶の製造工場に出会うとは思いませんでした。