2009/春 訪問



料亭F


静かな湖畔の森の陰から、不気味な廃墟が現れる。

日中だからまだ良いのですが、夜は流石に近寄りたくありません。




営業時は道標として仄かに灯っていた外灯も、

今は無用の長物と化して、ただ立ち尽くすばかり。




玄関から奥まで見渡せるフルオープン仕様。

茨城の物件は、他県よりも荒れが目立つ気がします。




あちこちが吹き抜けている点に加え、目の前が池という事もあり

当初の印象に比べ陰湿な感じは大分薄れてきました。




ちなみに此の物件は料亭とのことですが、

それを思わせる残留物は殆ど見当たりません。




今話題の薄型TVって奴ですね、しかもシャープ製…。





2Fも1Fと同じように吹き抜けています。

これは壁を壊したのか?それとも壊されたのか?




壁だけでなく床まで吹き抜けているのは、流石に困ります。

もちろん墜ちれば無事では済みません。




賑やかだった過去の姿を思い浮かべて懐かしむも良し、

滅びゆく現在の姿に美学を感じるも良し、

廃墟の愉しみ方というのは人それぞれです。



緑色の湖面に、ゆらりと浮かぶ廃墟の姿。

経営者にとって幻であってほしい光景も、

悲しいかな、此れは紛れもない真実なのです。




全国どこにでも在る普通の池、そんな池の傍に建っている廃料亭。

水辺だから好立地だと考えがちですが、汚れた緑の池では…。

周囲の住宅状況から考えても料亭の必要性は薄く、

あまり繁盛はしていなかったものと思われます。

予想される廃墟年齢は、10〜15年といったところ。


冠婚葬祭や接待など、ファミレスや居酒屋等では

済ませられない会食場面も、少なからず有るものです。

そういった際に使用されるのが料亭ですが、

良くも悪くも値段の高いイメージが付きまとい、

近年の節約傾向から苦しい立場にあると聞きます。

料亭にとって高級と思われるのは望むところですが、

そのぶん一般客から敬遠されてしまっては、本末転倒。

都会ならともかく、地方の料亭については

早めの策を取らないと、当物件のようになるかも…。



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