肝心かなめの浴場が、かなりミニマムな件について。
これは家族風呂で、本来の浴場は別に在るのでしょうか。
廊下の先に、何やら建物が圧壊したような痕跡を発見。
此処に露天風呂が在ったのかも知れません。
赤絨毯調の階段で贅沢感を出そうとする努力は買いますが、
如何にせん建材が安っぽくて、これは言い訳出来ないレベル。
一つ一つの部屋が小さい分、割と部屋数は多めの当物件。
営業当時の残留物が殆ど見当たらないのは残念です。
一階と同じく内部崩壊が酷く、移動範囲は限られています。
リスクを引き換えにしてまで見るべきものも無さそうだし…。
強いて見所と言ったら、この大広間でしょうか。
大量の障子が風化している様は、一応の見応えあり。
日没前の頼りない日差しが入り込む室内。
あと30分もすれば、夜の帳が徐々に降りてくる…。
周囲からの生活音は全く無く、聴こえるのは川のせせらぎだけ。
落ち着ける環境ではあるけれど、全体的に日陰が多く
寂しさと暗さが印象に残った今回の物件でした。
付近に目立った観光は無く、秘湯と言う程の山奥でも無い。
当物件は、中途半端な町の外れにひっそりと存在しています。
一軒宿の温泉旅館として、集客的には相当に厳しい状況…。
おまけに施設自体も質感に乏しいとあっては、
廃墟と言う結末に納得せざるを得ません。
廃墟年齢としては、20年前後ではないかと予想。
温泉や鉱泉を売りとする一軒宿は、全国各地に数多く存在します。
大温泉地と違った閑静な佇まいや、温泉としての希少価値など、
現代社会において其の魅力が再評価されているようですが、
時すでに遅く、廃業となった一軒宿は最早数知れません。
中には廃業後に放置されて、廃墟と化した宿も幾つか見受けられ、
最終的に有名な心霊スポットと成り果てる事もしばしば。
群馬県は、「おんせん県」の東の雄として近年夙に有名ですが、
その光の裏には、こういった影も存在している訳で…。